車載写真レーザ測量システムを用いた街路樹に対する維持管理手法の構築

研究期間 2022年04月2023年03月
國井 洋一 地域環境科学部造園科学科 教授

専門分野:ランドスケープ科学関連

y3kunii@nodai.ac.jp
趙 子健 株式会社CSS技術開発

専門分野:ランドスケープ科学関連

cho.s@css24.jp

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キーワード
  • 車載写真レーザ測量システム
  • 街路樹
  • 地上レーザスキャナ
  • 維持管理
研究の背景と目的
本研究では,都市部の主要道路における街路樹の状況を簡便に把握し,維持管理できる仕組みを構築することを目的とする.具体的な手法としては,株式会社CSS技術開発所有の車載写真レーザ測量システム(Mobile Mapping System:以下MMS)による測量を対象とする道路にて実施し,沿道における数十本の街路樹に対する3次元情報を一度に取得する.これにより,得られた3次元情報から沿道を含めた街路樹の3次元モデリングをほぼ自動で実行し,さらに枝葉の伸長や幹の傾斜,損傷といった現況を即座に把握可能とする.加えて,街路樹の無い空間においては,新規に植栽するシミュレーションを可能とし,沿道の最適な空間づくりを支援できるシステムの構築を目指す.
展開可能性(他領域・社会にどのようなインパクトを与えるか)
一般的なMMSは,地図を作成するために走らせることが目的であるため,街路樹の点群データが除去されることが多い.一方,本研究では通常と同様の走行データから街路樹を抽出し,樹高等のパラメータを現況として把握することと試みた.その結果,MMSによる街路樹のデータは十分に取得可能であり,現況把握が可能であることが認められた.さらに,近赤外画像センサにて撮影することによる状況の把握も試みた結果,取得された近赤外データから各樹木のNDVIを算出することにより,街路樹の活性度をそれぞれ把握することが可能となった.この成果は,街路樹に対する早急処理の不必要を定量的に示すものであるといえる.すなわち,これまでやむを得ず網羅的に強剪定が施されたような状況の街路樹においても,個体毎の活性度を詳細に得ることが可能となった.そのため,このような情報を活用することにより,街路樹に対する剪定等の維持管理についても,個体毎に相応しい手法を採用することが可能になると予測される.
シーズの特徴
特徴1
MMSおよび地上レーザスキャナを用いて街路における沿道の点群データを取得し,点群データから街路樹を抽出して維持管理に役立てる仕組みの構築を目的とした.
特徴2
MMSを搭載した車両は,千歳通りの東側車線を南下した後,世田谷通りの北側車線を東へ進行して観測を実施した.TLSによるレーザ測量は,MMSによる測量と同範囲の歩道内において,各樹木の頂部までスキャニングが施されるよう実施した.
PR・マッチングに関する要望
本研究ではTLSによって街路樹に対する歩道側からの補備測量を実施したが,手動での作業となるため労力が負担となる.そのため,今後はMMSデータのみでの有用性も検証したいと考えている.今後はMMSに広角レンズによる近赤外センサが搭載され,レーザ測量による点群データと同時に近赤外画像を取得することが可能となれば,データ取得の効率性が大幅に上昇すると考えられる.

連携先

企業
株式会社CSS技術開発
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