植物バリアによる自然リスクに左右されない農業の実現

太治 輝昭 生命科学部バイオサイエンス学科 教授

専門分野:遺伝育種科学関連

t3teruak@nodai.ac.jp

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キーワード
  • 農業の自然リスク低減
  • 植物バリア
  • 植物の乾燥耐性向上
  • 植物の高温耐性向上
研究の背景と目的
地球温暖化の影響により世界中で干ばつ(乾燥)・塩害・日照り(高温)が多発している。農業は天候や気温などの自然リスクに大きく左右される。その一助に環境ストレス耐性作物育種が挙げられるが、これまでに実際の圃場環境で効果を示す成果は得られていない。その大きな要因として屋外では、例えば乾燥と高温といった複合ストレスに曝されるためと考えられる。最近、植物の全身を覆うワックスが乾燥・塩・高温・病原菌といった植物にとって全く異なるストレスに広く耐性を示す「植物バリア」であることを明らかにした。そこで本研究では、植物バリアによる自然リスクに左右されない農業の実現を目指す。
展開可能性(他領域・社会にどのようなインパクトを与えるか)
生産現場の課題を先端技術で解決する「スマート農業」は、ロボットによる作業の自動化、ドローンや衛星を介した各種データ活用による作業の適切化により、新たな農業の実現が期待されている。一方、農業は天候や気温など、スマート農業ではどうにもならない自然リスクに大きく左右される。本研究成果は、スマート農業の弱点をカバーしうる。育種によるバリア強化作物育種の他、植物バリア剤の開発を通じて、スマート農業の促進、設備削減、環境への負荷軽減、温暖化ガスの削減、砂漠緑化、食糧問題の解決への展開が考えられる。
シーズの特徴
特徴1
植物の乾燥・塩・高温耐性に必須の遺伝子としてワックス合成遺伝子を同定
特徴2
ワックス量を調整する遺伝子を発見し、植物の乾燥・塩・高温耐性を向上させることに成功
特徴3
温暖化によって頻発する干ばつや温度上昇など幅広い環境変動に適応する作物育種に期待

連携先

研究機関
農研機構
研究機関
産総研
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