皮膚細胞のトランスグルタミナーゼ2を標的とした新規アンチエイジング機構の探索

研究期間 2023年06月2024年03月
山本 久美子 生物産業学部食香粧化学科 助教

専門分野:細胞生物学関連

ky207455@nodai.ac.jp

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キーワード
  • アンチエイジング
  • 化粧品
  • 紫外線
  • ミトコンドリア
研究の背景と目的
紫外線は皮膚老化の主な原因であるため、美容の観点から紫外線の皮膚影響を明らかにすることは重要な課題である。皮膚細胞に紫外線を照射するとミトコンドリアからの活性酸素種 (ROS) 産生の亢進によって細胞老化が進行する。一方で、ミトコンドリア代謝の過程で生じる有機酸がROSを消去することも示されており、紫外線照射後のミトコンドリア代謝を活性化することで老化の原因となるROSを抑制できる可能性がある。しかし、紫外線照射によってタンパク質架橋酵素であるトランスグルタミナーゼ2 (TG2) の発現が上昇し、このTG2がミトコンドリア代謝を低下させることも近年明らかになっているが、光老化とTG2の関係については不明な点が多い。そこで本研究では紫外線による皮膚老化を抑制するための基礎研究として、紫外線による細胞老化へのTG2の寄与を明らかにすることを目的とする。
展開可能性(他領域・社会にどのようなインパクトを与えるか)
ここ数年、女性に限らず男性にとっても美容についての関心が高まっている傾向があることから、多様化する顧客ニーズに応えるためにも様々な化粧品が開発されている。化粧品市場で求められているものはより付加価値の高い、そして新規性のある化粧品である。本研究課題で着目した紫外線曝露による皮膚老化症状を生理学的に抑制する化粧品はほとんど商品化されていないことから、紫外線照射後の皮膚老化メカニズムの解明は新規アンチエイジング化粧品の開発に重要な知見となると考えられる。本研究によって皮膚細胞における紫外線照射後の細胞老化にどのような形でTG2が寄与しているのかを明らかにできれば、TG2の制御という新たな標的を持つアンチエイジング化粧品の開発に期待ができるのみならず、これまでにも化粧品の原料となっていた素材に含まれる成分にも新規機能性という付加価値が見出せると考える。
シーズの特徴
新規化粧品開発のための基礎研究
“紫外線はお肌の健康に悪い”といった知識は世間でも一般的となり、紫外線自体を物理的・化学的に防ぐ日焼け止め化粧品は広く使用されている。一方で、本研究課題で着目した紫外線曝露による皮膚老化を生理学的に抑制する化粧品はほとんど商品化されていないことから、新規アンチエイジング化粧品の開発に重要な知見となると考えられる。
地域ブランドとしての化粧品開発
地域ならではの植物等の天然素材にTG2への効果が見られるものが発見できた場合、地域ブランドとしても価値のある化粧品開発の足掛かりとなり、地域の活性化を図ることができると考える。
研究業績・研究室(URL)
https://dbs.nodai.ac.jp/view?l=ja&u=100001374