Zalaria sp. Him3を用いたオリゴ糖マルチ生産システム構築の基盤となる関与酵素の特定

吉川 潤 応用生物科学部醸造科学科 准教授

専門分野:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連

jy207183@nodai.ac.jp

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キーワード
  • オリゴ糖
  • 酵母
  • 酵素
研究の背景と目的
オリゴ糖は糖が複数個結合した構造を有し、主な生理機能として腸内環境を整え、便通改善やミネラル吸収促進といった効果が得られることから、特定保健用食品や機能性表示食品の関与成分として重要な食品素材である。本研究課題の目的は、新たに見出されたフラクトオリゴ糖(FOS)高生産酵母であるZalaria sp. Him3を用いて、FOS生産に関与するβ-フラクトフラノシダーゼの特定とその特性を解明し、高度なFOS生産プロセスの確立へ繋げること、それ以外のオリゴ糖として、イソマルトオリゴ糖生産を確認した上で関与酵素であるα-グルコシダーゼを探索し、複数のオリゴ糖生産プロセス構築への土台を作ることである。
展開可能性(他領域・社会にどのようなインパクトを与えるか)
Zalaria sp. Him3のオリゴ糖生産に関与する酵素遺伝子を特定し、遺伝子組換え技術を活用することによって、オリゴ糖の生産コスト削減や収率向上へとつなげることが考えられる。さらに、培養に用いる炭素源をスクロースやマルトースと、酵素の誘導基質を使い分けるだけで異なるオリゴ糖生産に供することができれば、単一の酵母による複数のオリゴ糖生産プロセスを確立することにつながり、生物工学的なイノベーションの創出だけでなく、オリゴ糖のさらなる普及により保健医学の発展にも重要なツールとなる。
シーズの特徴
特徴1
Zalaria属酵母による新たな新規オリゴ糖生産プロセスを構築することができる。
特徴2
炭素源を変更して培養するだけで、複数のオリゴ糖生産に対応することができる。