日本原産のセリ科植物アシタバ(Angelica keiskei)の全ゲノム解読

研究期間 2021年04月
志波 優 生命科学部分子微生物学科 准教授

専門分野:システムゲノム科学関連

y3shiwa@nodai.ac.jp
吉瀬(新井) 祐子 生物資源ゲノム解析センター

専門分野:分子生物学関連

y3kichis@nodai.ac.jp

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キーワード
  • アシタバ
  • ゲノム
  • 伝統野菜
  • 遺伝資源
研究の背景と目的
セリ科シシウド属のアシタバ(Angelica keiskei)は、房総半島から紀伊半島と伊豆諸島の太平洋岸に自生する日本原産植物の一つである。この植物には、緑黄色野菜と比べビタミン、ミネラルが豊富に含まれているほか、ポリフェノールの一種であるカルコン類やクマリン類が多種類存在していることから健康維持や増進が期待できる「スーパーフード」として注目されている。ところが、生命の一次情報とも言えるDNA配列に関して、アシタバの遺伝情報は、ほとんど未開拓な状態である。ゲノム情報が解読されれば、関連する代謝系がどのような生合成経路を経て機能性成分を産生するのか、その理解を深めることが期待できる。そこで、本研究はアシタバの全ゲノム解読を目指す。
展開可能性(他領域・社会にどのようなインパクトを与えるか)
アシタバは、東京都が代表する「伝統野菜」の一つであり、その優れた機能性成分を有することからも重要な「遺伝資源」と言える。ところが、2020年の市場取引では、ピーク時の1/5以下となっており、農業人口の減少に伴いアシタバは消えゆく作物となりつつある。しかし、アシタバそのものは絶滅危惧種ではないため、現状では強力な保全策が必要というわけではないが、九州・沖縄の熱帯・亜熱帯地域のような他所における栽培の拡大化を図ることが有効であると考えられる。その際に、本研究のアシタバのゲノム解読によって遺伝情報基盤が形成されていれば、新たな土地での栽培化計画や必要に応じて分子育種、さらに機能性評価のために、この遺伝情報が十分に役立つだろうと考えらえる。
シーズの特徴
特徴1
栄養学的なデータの遺伝的背景として関連付けることも可能となり、農学的な応用研究例として機能性食品やサプリメントへの開発に役立つ。
特徴2
基礎研究例では遺伝資源の利用性の担保やSDGsへの貢献につながると期待できる。
特徴3
農学を含む学際的研究領域としてアシタバの有用成分から創薬への開発や、なぜアシタバが主に東京都の島嶼部で利用されるようになったのか、食文化的歴史を明らかにすることも可能になる。
関連情報(URL)
https://researchmap.jp/kt205453
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